論文作成は大学生活の一部と言えますが、特に序論の書き方については混乱を感じることが多いかもしれません。
この記事では、具体的な序論の書き方を例を交えて解説し、その重要性や基本的な書き方、そして上手に書くためのポイントを紹介します。
具体的な序論の書き方の例3選
いきなり序論を書けと言われても、何から手を付ければいいか分からない方も多いと思います。
そこで、ある程度のイメージできるように大学で取り扱うことが多いテーマを使って、序論の具体的な例を3つ紹介します。
序論の例① 「介護離職を解決する方法」
現代社会において、我々は高齢者人口の増加という大きな課題に直面しています。その一方で、それに伴う介護離職問題も深刻化の一途を辿っています。この問題は、個々の人生に大きな影響を及ぼすだけでなく、社会全体の生産性にも悪影響を及ぼす可能性があります。
本論文では、この深刻な問題の解決に向けて、その原因を詳細に分析し、具体的な解決策を提案します。
解決策の提案に当たっては、政策改革の観点からのアプローチだけでなく、企業が主体的に取り組むべき事項や、個々の対策についても深く掘り下げます。それらを通じて、介護離職問題がどのように社会全体に影響を及ぼしているのか、また、どのように対策を講じるべきなのかを明らかにします。
また、他国の取り組みや成功例を参考にしながら、我が国の現状を改善するための新たな視点を提供します。それらを総合的に考察し、我々が直面する介護離職問題を解決に向けた一歩を踏み出すための道筋を描き出します。
序論の例② 「国内出生率を上げる方法」
近年、日本の出生率低下は深刻な社会問題として取り上げられています。この問題は、国の将来を左右するほどの影響力を持ち、経済的な側面だけでなく、社会文化的な面でも大きな影響を及ぼす可能性があります。
そこで本論文では、この問題に対する具体的な解決策を提案します。
そのためには、まず出生率低下の原因を探ることが重要です。それは、経済的な理由から子供を持つことを避ける若者が増えている、あるいは働き方の問題から子育てと仕事を両立することが難しいと感じる人が多い、など多岐にわたります。これらの問題を解決するための具体的な施策を考察し、提案します。
さらに、他国の出生率向上策を参照し、それが日本の状況にどのように適用できるかを検討します。例えば、北欧諸国では、子育て支援の充実や働き方改革により、出生率向上に成功しています。そのような他国の成功事例を参考に、日本独自の解決策を模索します。
本論文が、日本の出生率問題への一石を投じ、新たな議論のきっかけとなることを願っています。
序論の例③ 「地球温暖化を止める方法」
地球温暖化は、21世紀に生きる我々が立ち向かわねばならない最も重大な課題の一つです。我々の生活習慣や産業活動が放出する大量の二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが、地球の気温を上昇させ、極地の氷が溶けるなどの深刻な環境変動を引き起こしています。この地球温暖化が進行すれば、海面上昇による洪水や干ばつ、異常気象による自然災害など、人類の生存に直結する問題が増大することは避けられません。
本論文では、このような深刻な地球温暖化を食い止めるための具体的な方法を提案します。
まずはその原因となる温室効果ガスの排出源を明らかにし、それらがどのように地球の気候に影響を及ぼしているのかを詳細に解説します。その上で、それぞれの排出源からの温室効果ガスの排出を抑制するための具体的な手段を提案します。
この問題は、個々の国や地域だけでなく、全世界が一体となって取り組むべき課題です。パリ協定のような国際的な枠組みを活用しながら、地球温暖化防止のための具体的な行動を進めていくことが求められます。本論文が、その一助となることを願っています。
論文における序論の役割と目的
論文における「序論の役割と目的」について解説します。
序論とは
序論は「映画の予告編」のようなものとイメージすると、わかりやすいと思います。
序論:「映画の予告編」
本論と結論:「映画の本編」
序論の役割
読者が論文の全体像をつかむための第一歩と考えましょう。
序論の目的は、読者に対して論文の主題や研究の重要性を明確に伝え、その後の本論へ興味を持ってもらうための布石を打つことです。
序論が上手く書かれていると、読者は論文の主題をすぐに把握し、その後の詳細な議論に興味を持つことができます。
さらに、序論は研究の目的や問い、方法論を示す場でもあります。これにより、その論文がどのような視点から問題を考察するのかを示します。読者が論文の主題を理解するだけでなく、その主題に対する研究者のアプローチや視点を理解するための重要な手がかりとなります。
例えば、同じテーマの論文でも、序論によって研究の視点が異なります。
ある論文は経済的視点から問題を考察するかもしれませんし、別の論文は社会学的視点から問題を考察するかもしれません。
序論は論文の全体像を描き出すだけでなく、その研究がどのような観点から問題を捉えているのかを示す重要な部分と言えます。
つまり、序論は読者に対する最初の接点であり、その後の論文の流れを理解するための道しるべといえます。このように序論が論文における重要な役割を果たすことを理解することは、論文作成や学術研究において非常に重要です。
論文の序論の基本的な書き方
論文における「序論」の具体的な書き方を解説します。
書き方① 序論のタイトルは「序論」または「はじめに」が基本
これは、読者がその部分が序論であることを一目で理解できるようにするためです。
書き方② 序論で書く内容
序論とは、論文の出発点となる部分で、その内容は非常に重要です。
序論で扱う項目は以下の通りです。
- 論文のテーマ
- 背景
- 問題提起
- 研究の目的
- 調査手段
- 論文の構成
6つの項目を全て入れる必要はありません。
取捨選択して、必要な項目を組み合わせればOKです。
「論文のテーマ」と「背景」
まず、論文のテーマについて触れます。これは研究の中心となる問題を明確に示すもので、読者が何について論じられるのかを理解するための指針となります。
次に、テーマを選んだ背景やきっかけについて述べます。これは研究の動機を示すもので、なぜその問題が重要であるのか、どのような視点から問題を捉えるのかを明らかにすることで、読者の興味を引くことができます。
「問題提起」と「研究目的」
問題提起は研究の現状や課題を明らかにし、研究の目的はその課題を解決するための具体的な目標を設定します。
これらを通じて、読者に対して論文の重要性を伝え、研究の方向性を示します。
「調査手段」
調査手段は研究を進めるための具体的な方法を示すもので、どのようなデータを収集し、どのように分析するのかを明示することで、研究の信頼性を高めます。
「論文の構成」
論文全体の構成は、論文の全体像を示すもので、読者が論文を読み進める上での道筋を示します。これらの要素を組み合わせて、序論は論文の全体像を描き出し、読者を研究の世界へと誘います。
書き方③ 序論で使う「文章の型」
論文作成に苦手意識を持つ学生のために、論文の序論でよく使われる「文章の基本型」を紹介します。
まずはこの流れをベースにして、序論を書いてみましょう。
- 背景説明
- 問題提起
- 目的設定
- 論文構成の説明
背景説明では、自分の研究テーマがどのような背景から生まれたのか、なぜそのテーマが重要なのかを説明します。
次に問題提起では、その背景の中で何が問題となっているのか、何が解決されていないのかを提示します。
目的設定では、自分の研究がその問題をどのように解決しようとしているのかを明記します。
最後に論文構成の説明では、本論でどのような順序で議論を展開していくのかを示します。
これらの流れを理解し活用することで、読者に対して論文の主題や目的を明確に伝えることができ、論文全体の理解を助けることができます。
書き方④ 本論と結論を書いた後に序論を書く
これは、論文全体の内容を把握した上で、適切な序論を書くことができるからです。
序論の分量は全体の10~15%
これはあくまで目安であり、研究の内容や論文の長さにより適切な分量は変わることもあります。
全体の文字数 | 序論の文字数【目安】 |
---|---|
2000文字 | 200~300文字 |
4000文字 | 400~600文字 |
1万文字 | 1000~1500文字 |
序論を上手に書くためのポイント
初めて読む人でも分かりやすい文章にする
専門用語の過度な使用や複雑な文構造は避け、明確でシンプルな言葉で情報を伝えることが重要です。
本論や結論と矛盾しないこと
序論で提示した研究の目的や問いが、本論や結論で適切に解決されているかを確認することで、論文の一貫性と信頼性を保つことができます。これは、論文が一つの物語と同様に、始まりから終わりまで統一性を持つべきであるという考え方から来ています。
序論で全体像がわかるようにする
読者が序論を読むだけで、論文の目的、方法、結果、そして結論の概要を把握できるようにすることを意味します。これにより、読者は論文全体を通読する前に、その論文が自分の求める情報を提供してくれるかどうかを判断することができます。
まとめ
以上、論文の序論の書き方について解説しました。序論は論文作成の第一歩であり、読者が論文に興味を持つための重要な部分です。この記事が、論文作成の参考になれば幸いです。
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